健康ワンポイントアドバイス01「慢性硬膜下血腫について」 - 公立長生病院

慢性硬膜下血腫について

公立長生病院 脳神経外科 野本和宏

 慢性硬膜下(まんせいこうまくか)血腫について説明します。もし頭部外傷を受傷し、打撲部の痛みや脳震盪(のうしんとう)などの症状がみられたら、医療機関でCTスキャンなどの検査をします。
 では、検査で異常がなく症状も数日程度でよくなれば、あとは大丈夫でしようか。実は、外傷後、しばらくは何ともなくても、3週から2ヶ月の間に頭痛、食欲低下、記憶障害などの症状が出現し、検査をすると、CTスキャンで脳の表面に血液が溜まって脳を圧迫していることがあります。これが慢性硬膜下血腫です。これを放置すると、意識障害、半身麻痺など、症状が重症化し、最終的には死亡することもあります。
 特にアルコールを多く飲む方、高齢者、男性、強くぶつけた場合に起きやすい事がわかっておりますが、そうでなくても起きますので、頭部外傷の患者さんには1~2ヶ月は気をつけるようアドバイスしております。時に血腫内に新鮮な出血が出現し、急速に症状が悪化することもありますので、変だなと思ったら早めの受診をお勧めします。
 また、痴呆症と間違えられ、どうせよくならないからと放置されることもあり、注意が必要です。治療は多くの場合、穿頭(せんとう。直径約1cmの小さな穴を頭蓋骨に開けること。)、洗浄、ドレナージ術という手術治療です。局所麻酔下、血腫直上の頭皮に3cm程度の切開をし、穿頭をします。頭蓋骨の下には膜に覆われた血腫があり、膜を破って中の血液を洗い流します。そして1~2日程度、特殊な管を挿入しておき、手術時に少量残った血液を体外に出します。
 当院では、年間、30~40例の手術をしており、けっして少ないものではありません。症状は、重度に進行していなければ、急速に良くなることが多いので、脳神経外科医としては、ぜひ多くの皆さんに慢性硬膜下血腫を知っていただき、患者様には適切な治療を受けて頂きたいと思います。

慢性硬膜下血腫の構造

慢性硬膜下血腫の構造
 慢性硬膜下血腫は、硬膜側にある外膜と、くも膜側にある内膜、そして
これらの被膜に包まれた流動性(液体状)の血腫から成り立っている。