婦人科の病気について(一)
公立長生病院 産婦人科部長 林國城
(1) 婦人科は女性の味方
婦人科の分野はかなり広い範囲になります。女性の妊娠、出産 を取り扱うのが産科とするなら、婦人科は女性の体の健康、思春期から成熟期、更年期、そして老年期へと年齢とともに変化する女性の体と生殖器官を総合的に診て、女性特有の病気や症状を治療し、ケアするという女性医学の一つです。
女性の生殖器官は子宮、卵巣、卵管、膣と外陰部から成り立っています。子供を産む産まないにかかわらず、女性にとってはとても重要な働きをもつ器官です。
婦人科はこれら生殖器官の疾患は勿論のことですが思春期の生理の悩みや避妊、成熟期の月経不順、不妊症、更年期の不定愁訴、子宮脱などといった悩みにも気軽に相談に応じて、女性の生涯の心強い味方となってくれるのです。
(2) 長生病院婦人科の目標
当科は常に患者さんを中心として、より確実に、効率的に、優しい診療を心がけでおります。医療内容をわかりやすく説明します。
また、地域医療のプライマリケアとして、千葉大学医学部付属病院産婦人科、千葉県がんセンター産婦人科、千葉労災病院産婦人科などと連携して、女性の健康ケアに一番よい診断と治療を提供しています。
(3)婦人科の主な診療内容
[1] 婦人科癌の検診と診断
初期の子宮がんの場合には無症伏の方が多いので、定期検診、あるいは別の婦人科の病気で受診して見つかることがほとんどです。
子宮がんの症状で最も多く見られるのは不正出血です。中でも性交出血、つまりセックスによる出血が起こりやすくなります。したがって、不正出血(生理以外の出血、性交後の出血、生理が止まらないなど)があったら、とにかく婦人科で子宮ガン検診を受けましょう。
また、日頃から自分の誕生日に一度の子宮がん検診を受けるように心がけましょう。子宮がんの検査部位は2ケ所あります。一つは子宮の出口の子宮頚部と、もう一つは子宮の奥の子宮内膜の検診です。両方の検診ともにほとんど痛みはありませんので心配はありません。その際、経膣か経腹部の超音波で卵巣がんの検診も一緒に受けましょう。早期発見ができれば、100%の確立で治る可能性があります。
[2] 膣炎
膣炎は数種類があります。カンジダ膣炎-濃厚な白色、チーズのような分泌物と外陰掻痒感、灼熱感があります。トリコモナス膣炎-トリコモナスという原虫によって起こる膣炎です。 大量の泡のような黄色分泌物があり、外陰掻痒感、灼熱感もあります。SEXパートナーも同時治療を必要とすることもあります。
細菌性膣炎は大腸菌、黄色ぶどう球菌などによって起こる膣炎で、しばしば悪臭分泌物や外陰部掻痒感があります。萎縮性(閉経性、老人性)膣炎は女性ホルモンがなくなって、膣粘膜が乾燥し薄くなったから引き起こされる膣炎です。膣の分泌が少ないので性交痛があります。
したがって、膣炎の原因を確かめて、症状に適した治療をすることが大切です。
[3] 子宮下垂、子宮脱
子宮が下がって膣内にとどまっている状態を子宮下垂、膣から脱出してくる状態を子宮脱といいます。
お産を2回以上経験したり、立ち仕事を長くしたりすると、加齢によって、子宮を支えている靭帯が弛みになって、子宮が下がってくるのです。老化現象の一つと思われます。子宮の前と後の膀胱と直腸を引き連れて下がってくることもあります。それぞれ、膀胱脱と直腸脱と呼ばれます。
保存的治療としては、丸いリングを膣内へ入れて、子宮を上に上げて固定する方法があります。手術による方法は子宮を摘出して、垂れ下がってきている靭帯を縫い縮めて固定する方法があります。
(次号に統く)



