健康ワンポイントアドバイス09「大腸憩室について」 - 公立長生病院

大腸憩室について

公立長生病院 外科部長 花田裕之

 人間の内臓には内側から外側に向かってポケットのような小さな袋が出来ることがあり、これを憩室(けいしつ)と言います。たまたま、この小さな袋が大腸の壁にできると大腸憩室と呼ばれます。
 今回は、この大腸憩室について説明したいと思います。

大腸憩室のできるしくみ

原因と疫学:
 大腸憩室のでき方は先天性と後天性に分かれ、ほとんどが後天性とされています。後天性にできる原因は、大腸の中の圧力が上がり、大腸を栄養する血管が壁の中に入る部分に力が加わり、あたかも風船が膨らむかのように内側から外側に向かって袋ができてしまうためです。
 大腸憩室は年齢とともに増加する傾向があり、日本人では60歳以上の20%ぐらいに存在し、アメリカ人では60歳以下の50%が有するといわれていますが、最近は若い方の憩室も増えてきています。従来、日本人では大腸の右側に多く、欧米人では大腸の左側に多いとされてきましたが、食生活の欧米化により、日本人にも左側の大腸にできる方が増え、高齢の方では左右両側にできる方が増加しています。基本的には自覚症状なく経過し、大腸の検査として注腸(バリウムを肛門から入れる検査)や内視鏡を行った際に偶然見つかるということが多いと思われます。

症状の有無:
 ほとんどの方は自覚症状がありませんが、中には腹痛、発熱、下血などの症状が出ることがあり、その場合は大腸憩室症といわれています。
 なぜ、症状が出てくるかというと、袋の中に便が溜まり炎症をおこしたり、腸内圧の上昇や便が溜まる刺激で腸の壁の血管が傷ついてしまうためと考えられています。
 つまり、右側の大腸(上行結腸)に憩室がある場合は炎症が起きると右側の下腹にかけて痛みが出たり、左側の大腸(下行結腸からS 状結腸)に憩室がある場合は炎症が起きると左側の下腹にかけて痛みが出たりします。日本人では憩室がある方の 2.5%程度に憩室炎を認め、憩室からの出血は4%弱といわれており、欧米人の約15%という数字に比べると少ない感じがありますが、食生活の欧米化により、これからはこの数字も上昇してくる可能性があります。

対策:
 普段から気をつけることは、動物性タンパクや脂肪を減らし、繊維質の多い食事を心がけ、便秘をしないよう、場合により下剤を飲むことも大切です。その他にも暴飲暴食、過労、ストレスを避けて生活することも重要です。
 基本的には、症状が出なければそのまま経過観察をするということになりますが、憩室炎を起こすと腸が狭くなったり、癒着(くっついてしまうこと。)、穿孔(穴があいてしまうこと。)や腹膜炎を起こすことがあるので注意が必要です。
 また、出血を起こすような場合は内視鏡治療(クリップで憩室を塞ぐ。)や血管塞栓術(出血する血管を詰めてしまう。)などの止血処置を必要とすることもあり、症状を繰り返す方や症状のひどい方は外科的手術となることもあります。
 大腸憩室を指摘されたことがある方は、常日頃から生活習慣に注意が必要と思われますが、万が一症状が出るような方は、早めに内科や外科にかかることをお勧めいたします。
 また、一般検診で便の中に血液が混ざる、時々なんとなくお腹が痛むという方は、大腸の検査で憩室の有無をチェックされてはいかがでしょうか。