健康ワンポイントアドバイス12「虫垂炎について」 - 公立長生病院

虫垂炎について

公立長生病院 外科部長 花田裕之

●はじめに
 虫垂炎は腹痛の原因として頻度の高い病気の一つで、古くから盲腸と言われ、ご存知の方も多いと思います。今回は、虫垂炎に関する最近の傾向などについて説明したいと思います。

●原因と疫学
 虫垂炎の原因は虫垂の内側が糞石(便の固まり)などによって閉塞し、内圧が上昇することにより、リンパ管や静脈の閉塞をきたし、虫垂内の細菌が虫垂粘膜から壁内に進入し感染を引き起こすと考えられています。
 虫垂炎にはカタル性(炎症の軽いもの)、蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい:炎症のしっかりあるもの)、壊疽性(えそせい:完全に腐っているもの)の3段階に分かれ、ひどくなると破れて穴が開き、穿孔性虫垂炎となります。子供からお年寄りまで各年代におこりますが、10 ~20歳代に多いと言われています。

●症状
 初期には心窩部痛(みぞおちのあたりの痛み)、おへその付近の痛みに始まることが多く、炎症の進行に伴い右下腹部痛に変わってきます。腹痛に伴って吐き気、嘔吐、食欲不振などが出現し、熱が出ることも珍しくありません。ただし、高齢者では熱の出ない場合があり、注意が必要です。

●診断
 腹部の触診の他、血液検査で白血球数が増加、腹部超音波検査や腹部CT検査で虫垂が腫れていたり、壁が厚くなっていることにより概ねわかります。ただし子供の場合は白血球数が増加しない場合があり、注意が必要です。
 また、胃腸炎の症状、他の場所の痛みで虫垂炎の症状と気づかない方、大腸憩室炎(腸の壁に小袋ができ炎症を起こす病気)、大腸腫瘍、女性の方は婦人科の病気(卵巣のう腫、骨盤腹膜炎など)との区別がつかないケースもあります。

●治療
 最近は程度の軽いものは抗生剤を投与して保存的に治療する(盲腸を散らすと一般的に言われている)ことが多く、保存的に良くならないもの、腹膜炎の症状があるもの、虫垂炎を繰り返す方は手術の対象となります。

●手術方法
 手術は腰椎麻酔(腰から下半分の麻酔)を行い、右下腹部を約5センチから7センチ程度切開し虫垂を切り取る方法(開腹手術)のほか、全身麻酔を行い、お腹に5ミリから1センチの穴を全部で3ヶ所あけて腹腔鏡というカメラをおなかの中に入れ、カメラで見ながら虫垂を切り取る方法(腹腔鏡手術)も最近は増えてきています。

●入院期間
 抗生剤を投与して保存的に治療を行う場合は約7日程度の入院です。手術を行う場合は、炎症が比較的軽い腹腔鏡手術の方は術後3~4日程度、開腹手術の方は術後7日程度の入院です。炎症がひどく、術後に腹壁膿瘍(お腹に膿がついてしまう)などの合併症を起こすと入院が長引くケースもあります。

●おわりに
 虫垂炎を疑う場合は早めに診察を受け、ひどくなる前に的確な治療法をご相談されるのが最良と思われます。