健康ワンポイントアドバイス01「腸閉塞症・イレウス」 - 公立長生病院

腸閉塞症・イレウス

公立長生病院 外科 阿部恭久

 消化管に入った栄養物・腸管内容は、腸の蠕動運動により肛門側の消化管へ流れていき、排泄されます。この流れが何らかの原因により障害されたことによって生じた病態を「腸閉塞症・イレウス」と言います。実は消化器外科においては、頻繁に遭遇する病態なのです。

●症状は?
 腸閉塞が起きると、肛門側へ腸の内容物は流れていきませんので、口側の腸管に腸液やガスが貯まり、腸管が拡張してきます。このため、おなかの張りが強くなり、間欠的な痛みが起きます。また、腸液の逆流で、気持ちが悪くなったり、嘔吐したりします。また、排ガスも排便もなくなります。

腸閉塞の病態を、次のようにイメージしてみてください・・・

 細長い風船に水を入れ、これをふくらまし、丸める。これがおなかの中にあると。これらの症状は、腸のどこの部分で閉塞となったか、あるいはどうして閉塞したかによって、極めて多彩です。したがって、病院へ来るきっかけとなる症状や、受診時の状態は、非常に幅の広いものとなり、初期の判断や、治療の内容も様々となります。

●診断は?
 多くの方が、腹痛、腹部膨満、嘔吐などで受診され、おなかを診ると、やわらかいのですが大きくふくらんでいます。時には、特定の痛みの強い場所があることもあります。  そこで、X線写真をとります。そうすると、大部分の腸閉塞の場合は、腸管の「鏡面像」という特徴的な像が出ています。X線写真では小さな変化でも、おなかの中には、ふくらんで丸めた細長い風船が何本もあるという状態なのです。CTをとってみると、ふくらんだ腸管とふくらんでいない腸がはっきりわかることもあり、腸管が、あるポイントで閉塞されているということがより明確となることもあります。

●治療は?
 腸管を閉塞している原因を除去し、腸内容の通過を回復させることです。しかし、それぞれの原因や状況は様々であり、治療も多岐にわたります。
 基本的なものとして、
(1)
 拡張した腸管内の貯留した腸液を、外へ出してあげることです。そのために、鼻から管を胃へ(経鼻胃管)、あるいは小腸へ(イレウス管)入れ、内容物を外へ排出させ、拡張した腸管の減圧を試みます。
(2)
 多くの場合、脱水や、電解質の異常を来たしてきますので、点滴を入れ、体液の補充をしていきます。
(3)
 管での減圧で改善しない場合や、腸管の血流が障害されていると考えられる場合には手術治療となります。
 さてここで、腸閉塞の大きな問題があります。前記で「腸管の血流が障害」と書きましたが、これは、腸が壊死を起こし、破れ、腹膜炎を起こし、非常に重篤な状態へと進む出来事です。ではそのようになっていることの判断はどうするのか?残念ながら確実なものはなく、発症の仕方、痛みの様子、おなかの様子、CT検査、採血検査、管を用いた減圧治療後の経過、などで判断していくしかないのです。

●原因は?
 はっきりした原因を特定できない場合が大部分なのですが、
(1)過去におなかの手術を経験され、何らかの癒着を持ちながらも通常は何事もなく生活されている方で、便通が少しずつ悪くなっていたり、疲れなどで体調不良があったりなどで、食べ過ぎたり、消化のよくないものを摂ったりがきっかけとなり発症することが、非常に多くみられます。
(2)おなかの手術をしたことがない方でも、突然の発症ということがあります。この場合には、腸管の血流障害という事態へ進んでいることも多くみられます。ソケイ部の脱腸が戻らなくなった場合もこのようになることがあります。
(3)おなかに問題がない場合でも実は発症します。腰を痛めて動けなくなった場合などです。一時的に腸管の動きが止まり、麻痺の状態となるのです。

●予防は?
 やはり、便通を維持すること、食べ過ぎないことでしょう。でも、そうは言っても、起きてしまったら仕方がありません。我慢せず早く受診することと思います。