健康ワンポイントアドバイス17「LASIKはいいの?悪いの?」 - 公立長生病院

LASIKはいいの?悪いの?

公立長生病院 眼科医長 常隂英俊

 銀座眼科ですごく悪名高くなってしまったLASIKですが、時々質問を受けます。しかも患者さん本人ではなく、「娘がLASIKやったんですが、どうなんでしょうか?」なんていう質問です。確かに気になるところではありますが、かなり長い話になってしまいます。
 私は主に白内障の手術を行うことが多い眼科医ですが、その立場での考えを述べたいと思います。
 まずは目的です。基本的に近視・乱視に対して眼鏡・コンタクトレンズを使って良好な視力が得られている人が、それらを使わないで済むようにしたい、ということです。
 20歳の方が手術を受けて、ほとんど近視のない、ぴったりな度数になっていると、こんどは40歳くらいで老眼の眼鏡が必要になります。
 生活や仕事の内容で違いがあるにしても、これで目的を果たせているでしょうか?私のようにデスクワークが主であれば、かなりの時間、眼鏡が必要なはずです。タイガーウッズのようにゴルフばかりする方なら、かなりの時間、眼鏡を使わないでしょう。(実際、タイガーウッズはLASIKの手術を受けており、手術が良かったのか関係ないのかはさておき、たいへん活躍されています。)  コンタクトレンズが普及して40~50年経ち、だいたいコンタクトレンズ装用に伴う合併症が出つくしたのではないかと思っています。20歳で使い始めた方が60~70歳になっている計算です。ドライアイやアレルギーなどコンタクトレンズに向かない方を除き、使い方さえ守っていれば、それほど悪いものでなく、便利だと思っていいです。
 LASIKが日本に普及してまだ十数年です。20歳で手術を受けた方はまだ30歳代です。これから老眼になりますし、緑内障や網膜剥離になるかもしれません。人によって進み方に差があるものの、必ず白内障になります。その中で何割かの方に手術が必要になります。今はまだ分かっていないことが、このさき分かってくるかもしれません。
 私も近視・乱視があり、眼鏡・コンタクトレンズを使いますが、一人の患者という立場で言わせて頂くと、自分としてはこれでいいと思っています。無理に手術する必要はないと考えます。お役所にもそう思われているので、保険診療になっていないです。
 そして、どんなに成績が良くても、手術である以上、合併症の話は避けて通れません。術後の見え方に満足できないからと言って、手術する前に戻れないです。
 銀座眼科のようにばいきんが悪さをしたら、最悪の場合、角膜移植が必要になります。
 銀座眼科は数が多かったので問題になりましたが、数が少ないからいいという問題ではありません。5000人に1人であっても、その人にとってはあまりに厳しい現実です。
 白内障の手術と比較するのはどうか、という考えもありますが、白内障は手術しなければ改善しません。進行予防の点眼剤はあるものの、あくまで進行予防ですし、少しは進みます。進んできたら手術なのです。手術以外に改善させる方法はありません。あまりに進みすぎると手術が難しくなることもありますので、80歳までには、よく見えていても一度眼科を受診して頂きたいところです。
 白内障の手術も患者さんに「先生は失敗することないんですか?」と聞かれることがありますが、これも「0点か100点かという質問では答えられません」というのと似ているかもしれません。
 以上のことを踏まえて、いいことも悪いこともよく分かった上で、手術を受けるならいいと思います。
 あと、人によって、眼科医によっても、考えが違います。いろんな考えがあっていいと思います。