健康ワンポイントアドバイス18「消化管出血について」 - 公立長生病院

消化管出血について

公立長生病院 外科部長 望月亮祐

 口から順に食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までを消化管と呼びます。食物を摂取し消化吸収した後に排泄するための臓器です。消化管出血とはこれらの臓器から出血することで、出血した血液を口から吐くことを吐血、肛門から排泄されることを下血といいます。体の表面からの出血は圧迫ですぐに止血できますが消化管出血は体の深部からの出血のため少量の出血では気づきにくく、また自分で止血することができません。一度に大量出血をきたすと危険な状態となり、緊急に内視鏡や手術による治療が必要となります。
 様々な疾患が消化管出血の原因となります。排便直後の真っ赤な出血を排便時新鮮血下血といい、肛門や肛門から近い部位で排便の刺激で出血するものです。便と混ざらずに血液がそのままの状態で排泄されます。痔核や裂肛によるものがほとんどですがポリープや癌が原因のこともあります。

 赤い血液が付着した便を血便といい肛門よりやや奥の直腸やS状結腸からの出血でしばしばみられます。それよりさらに奥の大腸からの出血では便として排泄されるまでに時間がかかるため血液が変化して黒っぽくなります。黒色~黒赤色を帯びた便があった時はこの部位からの出血が疑われます。大腸からの出血の原因としてはポリープや癌のほかに大腸憩室炎、虚血性大腸炎等が主なものです。

 口に近い上部消化管である食道や胃、十二指腸から多量に出血すると口から吐血することがあります。少量の出血では吐血することなく下に流れていきますが、胃酸等によって変化するため墨のような黒い便が排泄されます。コールタールに似ているのでタール便と呼ばれます。主に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌等で出血を伴う時にみられる症状です。このように一口に下血といっても出血部位によってそれぞれ特徴があります。

 上部消化管や大腸に比べると、その間にある小腸から出血することは稀です。小腸は長さが3mほどあるため出血部位や出血量によって症状は異なります。

 以上のような症状はある程度の出血量があった場合に自覚されるものです。ごくわずかな出血では自覚症状がなく、原因疾患が治らなければ出血が続き、徐々に貧血が進行することがあります。貧血の症状として動悸、息切れ、立ちくらみ等がありますが、それらの貧血症状がない場合は病院での採血検査で初めて貧血を指摘されることもあります。

 下血や貧血が消化管疾患の徴候といわれるのは以上のような理由からです。それらの症状があった時は胃や大腸等の消化管の検査をお勧めします。