ワンアド「ストーマについて」-公立長生病院

「ストーマについて」

公立長生病院副院長  阿部恭久


今回は、人工肛門・ストーマ・ストーマ関連についてお話していきたいと思います。
人工肛門(stoma、消化管ストーマ)とは、便を排泄するために消化管を体外へ誘導し造設した開放孔のことです。stoma・ストーマとは「口」の意味です。他に尿を排泄するために造設された尿路ストーマというのもあります。
【造設理由】
主に消化管疾患、時に腹部外傷により、肛門からの排便ができなくなる場合に行われます。
【呼び方】
体外へ出された腸管の部位によって、大腸の場合 Colostomyコロストミー、回腸の場合 Ileostomy イレオストミーといい、また、尿路ストーマを urostomyウロストミー といいます。最近は、人工肛門や人工膀胱という用語の代わりに「ストーマ」と言っています。
【排便の方法】
・自然排便:自然に排泄される便を装具・パウチで受けて処理する方法です。
・洗腸法:微温湯をストーマから注入し、排便をさせる方法で、洗腸法の手技取得が必要ですが、一定時間(24-48時間)排便の心配がないという利点があります。
【消化管ストーマ造設後のいろいろな合併症】
・造設後早い時期のものとして、ストーマ周囲皮膚障害が最も多く、他にはストーマ自体の循環障害・壊死、陥没・変形、ストーマ周囲創感染があります。
・造設後時間がたってからのものとしては、やはりストーマ周囲皮膚障害が最も多く、他にストーマ周囲ヘルニア、腸管脱出があり、また陥没・変形・狭窄、粘膜皮膚移植、粘膜過形成などがあります。ストーマ周囲の皮膚障害が最も頻度が多く、報告者により12-40%とされ、しかも造設後早期だけではなく何年経過しても発生することが問題です。
★ストーマ周囲の皮膚障害原因としては、それぞれちがいはありますが、ストーマ周囲に便が漏れると周囲の皮膚に障害・いわゆる皮膚のかぶれが発生します。また、ストーマ装具に起因する皮膚障害や、装具の使用方法に起因するものもあります。
★ストーマ周囲の皮膚障害への対応の基本は、その人そのストーマにあった装具を選ぶということです。ストーマ関連用品は日々進歩し、用途に応じて多くのものがあり、うまく利用していくことが必要です。
【ストーマ装具の基本】
皮膚に接着させる部分・面板・皮膚保護剤と、排泄物を収納するストーマ袋からなっています。皮膚障害ということで重要なのは面板です。皮膚保護性を高め、しかもしっかりと粘着性がある必要があります。
【皮膚保護剤】
皮膚保護剤は、水分を吸収し排泄物から皮膚を保護する親水性ポリマー成分と、皮膚への粘着性に優れ、親水性ポリマーをつなぎ合わせる役割の疎水性ポリマー成分からできており、親水性ポリマーも疎水性ポリマーもいくつかの種類があり、その組み合わせで何種類もの特徴を持った皮膚保護剤が各メーカーで作られています。したがって、その人に合わせて選ぶことができます。
【装具の選択】
・排泄物の性状:水分が多い尿路ストーマ、回腸ストーマなどは、耐久性のあるものを考えます。
・汗をかきやすいか? 乾燥している皮膚か? 年齢や、スポーツなどの活動をしているかも考慮し、粘着性がポイントとなります。しかし粘着性だけではかえって毛穴をふさぎ皮膚炎を起こしてしまうこともあり、組成を考慮します。
・アレルギーを起こす場合もありますのでその場合には変更が必要です。
・体型:脂肪が厚く張り出しているような場合は軟らかい装具を、しわや軟らかいたるんだおなかかの場合は、硬い装具を選択することが多くあります。
・面板と袋の部分が分かれたタイプ:いくつか種類があり、体型からの選択や、その人にとっての扱いやすさからの選択となります。
・扱う人が本人なのか?
・扱う人の手指の器用さでも選択される場合があります。
・ストーマの形状:変形や、陥没している場合に合わせたものもあります。
このようにざっと挙げただけでも多くの選択肢があり、便の変化、体型変化、活動性の変化などによっても適切なものが変わってくることがあります。
これから暑い夏です。汗をかき、皮膚炎を起こしやすい時期です。なかなか相談しづらいと思っておられる方も多いかと思います。ストーマに関するトラブルがあれば受診をお勧めします。